きらいになれないときは

日記とフィクション

偶像

心底自分の凡庸さに落ち込んで 輝きを見つけた気がしても 2秒後にはどこかへ行っていて 思い出そうとして検索窓 サジェストされた単語に目移り 早起きしようと思ったのに1時 5年前くらいまでスクロール 繰り返しすぎているから もう瞳に影が焼き付いている …

エトセトラ

「エンコン、じゃないですかねー」雨の中、坂の上にあるコインパーキングに停めた車まで歩きながら杉山は言った。 「縁、婚。めでたいね〜」と返すと怪訝な顔をされる。「エンもコンもめでたいじゃん」と付け加えるように言うと、ため息を吐きながらまぁそれ…

秘密/孤独

昼休みにトイレに駆け込んでパンツを下ろすと、そこには鮮やかな赤とどす黒くなった赤が混じっていた。顔を近づけると鼻を歪めてしまうようなにおいがするけど、やめられず見てしまう。ゼリーみたいな大きな塊が張り付いていたから、なんだかラッキーと思っ…

浮遊

◆2020-10-20のこと 毎日元気です。朝起きると時計を見ます。時計は10分くらい進んでいるのでボーっといつも遅れてしまうぼくにはちょうどいいです。ちゃんと10分早まっていることを忘れているのでいつも焦って家を出ます。そのわりに遅刻しないこともあるの…

短歌まとめ4

・背を向けて斜めに天井見つめてる 早く眠ろう 早く眠ろう ・でも毛糸 結び直してもう夏で 言えないずっと春まで言えない ・店員の優しさ見えるam2:00 無言で3円増える会計 ・「訴えます!」おふざけ訴訟 真夏の日 太陽相手の無茶苦茶勝負 ・意味もなく手首…

あたしの変な恋心

映画館を出たあと、すごい勢いで飛び出る。 なぜだか焦って周りは見えてないのに感覚が鋭い感じがする。特に耳はよく聴こえる、いろんな音を拾っている。 風の音が強い、し、肌がつんのめって裂けちゃう気がする、あ、怖いな。って思ったらもう駅だ。 駅が思…

テレビ

会いたくない人に会うより、観たいテレビがあったよ。 そんなことを考え始めるとかなり悔しい気持ちになる。 みんなはしゃいでいる。タイムラインがすごい勢いで動く。あれ面白かったよね、と切り抜かれた1分が拡散される。でもちゃんと観てる人からすればそ…

クリームたい焼き

好きじゃないコンビニスイーツが、たまに美味しい。 人が買ってくれておうちに持ってきてくれた時、その人が美味しいと思ったりだとか、わたしが喜ぶと思って買ってくれたんだと思うと、美味しいかもって思っちゃう。 その後コンビニに行った時に自分で買っ…

短歌まとめ3

素人短歌を書いています。

短歌まとめ2

・揺れる窓 見えたる雲は何色か 答えの前に目的の駅 名前のない色の雲を見つけた ・オレンジの時を待ってるあの川辺 あの永遠は二人が作った オレンジの時、マジックアワーっていうらしい… ・昼休み 細く舞う糸たち回る 喫煙所では内緒の話 本当に社外秘の話…

短歌まとめ

・北上尾 気づけばさいたま新都心 どこ行けば良い 降り立つ板橋 本当は池袋に行かなきゃなんですけどね ・ここまで、と閉じて3秒目も閉じた 明日起きたら忘れちゃいたい 夜中に頭いっぱいにしちゃうアレね ・「わからない でもいたいんだ」チビが言う そんな…

ゴールデンハムスターみさこ

昨日のご飯が思い出せない。この炒め物はいつ作られたものなんだろう。私は部屋の真ん中にあるテーブルの前に座って、手作りのご飯たちに手をつけようとしていた。ひき肉の炒め物とワカメのスープと白米、そこそこ手の込んだメニューだ。台所のマットには細…

オレンジ

// あまりにも短い時間だった。 喫茶店は土曜の昼らしく適度に混んでいた。 注文してから、10分は待ったがそれの半分も話さなかった。 コーヒーカップにはややオレンジがかったラメ入りのグロスがすこし付いている。 昔、コーヒー占いというハッシュタグが付…

少し

// 絶対誰にも届きませんようにって、涙が出そうになる気持ちを抱え込んだ膝のうちで思う それなのに、感じている寂しさを埋めたい弱さが体を動かす どこに行けるんだろうか、どこに行きたいんだろうか 何もわからない 朝起きたくない 昼座っていたくない 早…

// 電車が見たくて歩いた コンビニから漏れる光 後ろから聞こえる足音 大きな光 イヤホンをしてるから聴こえなくて ボンヤリ端っこに立ち止まって振り返る ぐるぐるに巻いたマフラーは暖かいけれど 頰はもうピンと張っている 袖をだらしなく伸ばして 踵を引…

誰にもあげない

// 靴下が何度も足首のあたりまで落ちてしまっていた。何度直しても落ちてくる。 春の陽の眩しさは特殊で、普通が全て取り払われてわたしを特別にしていたけれど その魔法が剥がされてしまう気がして、ずっと気がかりだった。 電車に乗る。いつもの電車だ。 …

まぬけ

// なんだか急に夏が来てしまったみたいだった 例えば玄関のチャイムが突然鳴った時 Tシャツに寝癖のついた頭でバタバタと出ていった時の自分の姿 間抜けでなんだか恥ずかしい時のあの感じだった 少し蒸れる服の中の空気が忘れていた夏を思い出させる 春の場…

この先

// たとえば、選ぶなら 春の陽 選ぶなら、ぬるさ そんなふうにきっとわたしの4年間はキーボードに打ち込んだひらがなを漢字に変える部分のところの変化なのだろうと思う 変わっていないとも言えるけど小さな窓から覗く小さな世界がわたしにとっての世界だっ…

「愛している」は、しまっておいて

// 陽の傾いた教室にはただひとりだけが残されていた。 校庭に見えるのは小さな豆粒と綺麗な星で、千奈美にとってその風景は毎日の生活だった。 毎朝セーラー服を着て、食パンを齧り、太腿に力を込めてペダルを押して、風で舞って散らかった前髪を整える日々…

相対

// 《親知らずが生えてきたよ怖いから歯医者には行かない》 いつまで若者でいられるのだろうかいつまで鬱屈した気持ちとか不安とか、そういうのと戦ってうまくいかないままの自分でも認めてもらえていられるのだろう 大人、になってしまうと認めてもらえてな…

未来

// 大切だからこそきちんとしたいと思えるようになった自暴自棄で自尊心を低くして愛せる自分に離別だけどここから抜け出すのは本当に辛いらしい 何もない空っぽの自分が辛い趣味だと思っていたことがあまり楽しくなくてつらい義務感みたいな何かが生まれて…

君の声

// 不安定な時は明日がこの世の終わりと思うのにバカみたいな昼間がやってきてお腹が空くんだ 多分これはきっと続いてきたもので消化できていたと思ってたけどできてなかったって話

終末

// 自分を認める愛する それが怖くなってどんどん人を怖いと思うようになった 軽い愛とすぐ冷める温度の空気で何度も願った未来も蜃気楼ですぐ消えた 傷つけることで自分を守って自分が可愛くて泣いていた いつか終わると信じていたけど終わらせられるのもま…

退屈な日々を愛せるか

// その質問はようやく私に向かって放たれた 私には平凡でゆっくり流れる穏やかなひだまりは用意されておらず、薄暗い部屋にはいくつもの不安定チョコレートその他が散らばっている つまり、自分でふしあわせという「幸せ」を望んでこうなっていた訳である …

// 思い出して腹の立つことがあるとすれば葬式前にのんきに世間体を気にすることができる女とか変な方向に読み替えてアレコレ言ってくださる方々とか「大変ね」「がんばってね」とかこちらの発言を前に言ってくださる名も知らぬババアとかそんなのうるせえな…

// ひたすらにあの日とあの日を思い出すことを繰り返して得られるものはなく忘れて思い出し忘れて思いながらそんなふうに日々は過ぎ気がつけば「もう大丈夫」と笑える日が来ます 平坦な線が揺れ目の前の世界が崩れそうになっても瞬きをすればきちんとピント…

要は

// こういうことですが、あんまり手直ししてないので気がついたら消してあるかも https://ncode.syosetu.com/n7600ei/