きらいになれないときは

日記とフィクション

2021-01-01から1年間の記事一覧

エトセトラ

「エンコン、じゃないですかねー」雨の中、坂の上にあるコインパーキングに停めた車まで歩きながら杉山は言った。 「縁、婚。めでたいね〜」と返すと怪訝な顔をされる。「エンもコンもめでたいじゃん」と付け加えるように言うと、ため息を吐きながらまぁそれ…

秘密/孤独

昼休みにトイレに駆け込んでパンツを下ろすと、そこには鮮やかな赤とどす黒くなった赤が混じっていた。顔を近づけると鼻を歪めてしまうようなにおいがするけど、やめられず見てしまう。ゼリーみたいな大きな塊が張り付いていたから、なんだかラッキーと思っ…

浮遊

◆2020-10-20のこと 毎日元気です。朝起きると時計を見ます。時計は10分くらい進んでいるのでボーっといつも遅れてしまうぼくにはちょうどいいです。ちゃんと10分早まっていることを忘れているのでいつも焦って家を出ます。そのわりに遅刻しないこともあるの…

短歌まとめ4

・背を向けて斜めに天井見つめてる 早く眠ろう 早く眠ろう ・でも毛糸 結び直してもう夏で 言えないずっと春まで言えない ・店員の優しさ見えるam2:00 無言で3円増える会計 ・「訴えます!」おふざけ訴訟 真夏の日 太陽相手の無茶苦茶勝負 ・意味もなく手首…

あたしの変な恋心

映画館を出たあと、すごい勢いで飛び出る。 なぜだか焦って周りは見えてないのに感覚が鋭い感じがする。特に耳はよく聴こえる、いろんな音を拾っている。 風の音が強い、し、肌がつんのめって裂けちゃう気がする、あ、怖いな。って思ったらもう駅だ。 駅が思…