きらいになれないときは

日記とフィクション

まぬけ

 

 

なんだか急に夏が来てしまったみたいだった

 

例えば玄関のチャイムが突然鳴った時 Tシャツに寝癖のついた頭でバタバタと出ていった時の自分の姿 間抜けでなんだか恥ずかしい時のあの感じだった

 

少し蒸れる服の中の空気が忘れていた夏を思い出させる

 

 

春の場所はしっかりと覚えているはずなのに薄い桜の色が透き通る緑に変わってしまうと遠い昔になってしまう

カレンダーに半袖を着始める日付が書いてあればいいのに

きっと素足にサンダルで歩けば風の通り道が足元に出来るのだ

 

涼しさを感じたら、夏だ

冬の寒さも春の陽気も教えてくれないあの風

 

日焼け止めは毎日きちんと塗らないと上着を軽々しく脱げない 油断した時の日焼けほど悲しいものはない 一年中変わらない肌の色は私にとっての小さな抵抗だ

人に言われて季節を感じてしまうのは嫌だし、自分だけがこっそり知っていたい

時間が経ってしまっていることには気づかずに新しい季節をいつも間抜けに楽しみにしている